事務所を移転するときには引越しやその準備をするのが大変ですが、やらないといけないことはそれだけではありません。さまざまな手続きをする必要があるのです。

この記事では、社内での手続きと社外での手続きについて詳しく紹介していきます。会社で事務仕事をしている人や個人事業主として会社を経営しようとしている人はぜひ参考にしてください。

目次

1.社内的な手続きとは?定款の変更をする

社内的な手続きとは?定款の変更をする
会社を移転するときに行うべきさまざまな手続きを紹介していきます。これは社内的な手続きと社外的な手続きの2種類があります。

まずは内部的な手続きについてです。

定款における会社の住所変更の手続きをします。会社の住所変更については会社法に規定があります。会社法では会社の住所を「本店の所在地」と定義されていて、この住所は会社の定款に必ず記載しないといけません。

ただし、この本店の所在地は市区町村までを定めていれば問題ありません。したがって、会社を移転しても同一の市区町村内であれば定款の変更は不要になります。同一でなければ定款を変更しないといけません。

2.社外的な手続きとは?銀行その他の手続き

社外的な手続きとは?銀行その他の手続き
定款を変更したら次に外部的な手続きについてです。会社の住所変更について役所にいろいろな届出をしないといけません。

銀行への手続き

移転後の銀行への手続きに必要なものは

  • 登記簿謄本の原本
  • 印鑑
  • 通帳

上記3つを持って銀行の窓口へ行き、手続きを行います。ただし、移転後の住所の登記簿謄本が必要なので、移転後に手続きを行います

法務局への手続き

この「本店移転の登記」というのは、本店所在地を変更したときに必ず行う登記のことで、会社法で本店の新所在地だけでなく、旧所在地と支店の所在地にについても、登記を申請しないといけないと規定されているのです。

申請期限は本店所在地の場合は移転した日から2週間以内、支店所在地の場合には3週間以内に届出をします。法務局にこの移転登記申請書を提出したら銀行に登記簿謄本を持って住所変更手続きをします。

税務署への手続き

この「異動事項に関する届出」というのは、会社が移転したときに納税地の所轄税務署に行う手続きのことで、「異動届出書」という所定の文書が用意されています。

法人税法により、納税地に異動があったら、納税地の所轄税務署長に届け出をする必要があると規定されています。提出期限は明確に決まっているわけではありませんが、移転させてから速やかに行うのが一般的です。

地方税関係の保険

各都道府県の県税事務所に「法人異動届」を出します。この「法人異動届」は会社が異動したときに都道府県税事務所に提出する届出書のことです。

提出は移転させてから原則として10日以内です。県税事務所と同様に市区町村にも「異動届出書」を提出しないといけません。こちらの方は変更が起きてから30日以内でかまいません。

ただし、東京都の特別区に事務所がある場合には区役所に提出しなくても問題ありません。

社会保険の手続き

事業所を管轄している年金事務所に対して「健康保険、厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更届」という文書を提出します。この場合は、健康保険法施行規則と厚生年金保険法施行規則で規定されています。

いずれも提出期限が決まっていて、実際に会社を移転させてから5日以内に済ませます。

労災保険関係の手続き

具体的には、移転後の労働基準監督署に「名称、所在地等変更届」を出します。

場合によっては労働基準監督署からどのような変更内容があったのかを確認できる資料なども要る可能性もあります。たとえば、商業登記簿謄本や賃貸契約書のコピーなどです。

提出期限は会社を移転させた次の日から10日以内と決まっています。

雇用保険の手続き

移転後の公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険事業主事業所各種更届出」を出します。

この書式はハローワークの窓口でもらうことができますし、ハローワークのホームページからダウンロードすることも可能です。必要箇所に記入してから押印を事業所印と事業主印の2箇所にします。

提出期限は変更した日の次の日から10日以内とされています。これらの手続きはいずれも直接文書を持っていくか、郵送で送るか、電子申請システムを利用するかのいずれかで行うことができます。

このように会社の移転時にはいろいろな手続きをします。大きく分けて社内的な手続きと社外的な手続きの2つです。社内的なものとしては定款の変更があり、社外的なものとしては住所変更手続きや税金関係や保険関係などがあります。

3.まとめ

会社の移転には銀行への手続きをはじめとしていろいろな手続きをしないといけません。

社内的には定款の変更をする必要があります。社外的には、法務局、税務署、県税事務所、市区町村、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどに所定の書類を提出しないといけません。こうした手続きをして初めて会社の移転が完了します。

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